フラッシュ

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　フラッシュを使うと暗いところでもはっきり撮影できます。はっきり写すことが目的ならば、なにも問題はないのです。しかしフラッシュというのは、懐中電灯と同じです。美しさを演出するには不適当な光だといえるでしょう。
　写真の美しさの秘密は、実は影にあります。光ではないのです。これはとても大切なことです。
試しに身の回りの美しい写真をよく見て欲しいのです。風景にしろ、人間にしろ、そこには程良い光と全体を引き締めている影の存在を見つけることが出来るでしょう。
「ほどよい光」というのが大切で、この「ほど良さ」が美しい影を生み出します。
フラッシュを使う撮影方法は一般的ですが、この人工光線を制御する技術、つまりライティングはプロの独壇場です。それはやはり機材なのです。テレビなどで見たことがあると思いますが、傘をつけたフラッシュでプロのモデルをバシャバシャやります。カメラマニアなら一度はやってみたい光景でしょう。
　実際の撮影の場合、カサバン（傘で光をバウンズさせた光源）の数は決まっていないのです。多い人はいくつでもつけります。光を直接当てることはまずしないのです。つねに反射光かディフューザーと呼ばれている光を柔らかくするもの、例えばトレーシングペーパーなどを使います。更に一つ一つ位置が違っていて、トップつまり上から当てる光、サイド、横から当てる光、フロント、正面から当てる光、バック、背景に当てる光、更にアイキャッチ（目を輝きを増す為の光）、スポット、髪などにあてて、アクセントをつけります。など様々な光をつくりだします。全てにおいて、その明るさは違っていて、それはカメラマンの中にあるイメージで考え出すのです。フラッシュを使った、自然な写真は計算尽くされた結果なのです。もちろん費用もかかり、その金額や機材は一般の人のポケットマネーの範囲を遥かに超すものです。

　 プロが使う光量の大きなフラッシュは自然な光と影を演出する道具なのです。

　一般の人のカメラについているフラッシュはコンパクトで便利なのですが、決して美しい光ではないのです。フラッシュを使うと、はっきりと写ります。しかし、その場を演出しているいろんな光を消し去ってしまいます。
　免許証の写真を見てみましょう。写真スタジオで撮影したものは、綺麗に写っていますが、DP店や3分間写真では、まるで映画の中に出てくる囚人の写真のように写っています。これは、囚人を撮る写真が、フラッシュ一発で撮っているからです。
　残念ながら、デジタルカメラについているフラッシュでは、美しい影を作ることは、まず出来ないのです。そのかわり、はっきり、くっきり写ります。
　 フラッシュを使った撮影の場合、その写真は、記録写真、記念写真と割り切ることです。そう考えると、フラッシュでも楽しい写真、重要な写真がいくらでも撮れます。
要は欲張らないことです。

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